舞台芸術の歴史 3

【オペラの歴史】

近年、本場イタリアのオペラが豪華な舞台セットと共に日本公演をすると言うことも珍しくありません。見事な声量を誇る歌手、オーケストラ、舞台上に組み上げられた様々な仕掛け、エンターテイメントの究極の形、それがオペラです。

 オペラは、17世紀末、ルネサンス期の最期にイタリアに登場します。ローマ帝国終焉後のイタリアは、小国に分裂します。その中でローマ教皇は、ヨーロッパ中にその権威を示し、常に神聖ローマ帝国皇帝と対峙していました。しかし、17世紀のイタリアは、新大陸の発見と共に経済の中心が地中海から大西洋に変わったこと、宗教改革の勢力拡大で教皇の権威が低下したことで、低迷期の始まりにありました。

 フィレンツェのバルディ家のジョバンニ伯爵は、自らのサロンに、様々な芸術家や学者を招聘し、古代ギリシア劇の台詞や幕間の合唱や演奏といった各要素をもっと壮麗なものにし、至高の芸術を作ろうとしました。ルネサンス運動の終着点とも言えるこの時代に、古代ローマ人の眠っていた血がオペラを誕生させたのかもしれません。

 最古のオペラは、1597年のヤコブ・パーリの『ダフネ』。しかし、これはどんな内容かわかっていません。わかっているものでは、同じくバーリの『エウリディーチェ』になるそうです。上演されたものの記録では、1607年にマントーヴァで、クラウディオ・モンティ・ヴェルディの『オルフェオ』と言うことになっています。

 フィレンツェ、ローマ、ヴェネツィアの各宮廷で公演されたオペラは、その後専用劇場も登場し、伴奏、音響、衣装、舞台装置も巧みに改良され、王侯貴族、富裕な市民層に絶大な人気を得ることになります。

 音楽や絵画、建築など美術の世界ではちょうど、バロック時代と呼ばれます。このバロック時代にオペラは誕生したのです。

 その後、歌い手の技量も向上し、円形劇場の隅々にまで、生の声を響き渡らせる。常人には出来ないような、高音を歌い上げるカストラートと呼ばれる人たちが競いあうようになります。進行や作品の内容に関係無く歌唱の技巧を競うオペラは次第に人気を落としていきます。18世紀後半そんなオペラに異を唱えたのが、ドイツのグルックです。グルックのオペラ改革は、オペラの本来持つ物語性、第一幕,第二幕と続くドラマの進行をもう一度しっかりと構築した上で、歌い手の出番を作っていきました。オペラの持つ文学性と音楽性のうち、文学の方、つまり、物語の持つメッセージや、ストーリーの面白さを協調したのでした。グリックは最初、オーストリアのウィーンで、後にパリで活躍します。1762年に『オルフェオとエウリディーケ』1774年には『アウリスのイフィゲニア』を発表します。